この長編のチャプタータイトル全てが
ドラえもんの道具名となっていて、
それらは各章のテーマとぴったりマッチ
しています。
ドラえもんがストーリーに関わっている
とは言え、お話はずっと現実路線でした。
けれども、これも立派なファンタジー
だったと最後の最後に知ることになります。
著名なカメラマンだった父親の才能と思いを受け継いで
写真家になった娘、理帆子の高校時代の数ヵ月間のお話です。
複雑な事情を幾つも抱えた年頃の女子高生の胸の内と、
彼女を取り巻く人間模様に徐々に引き込まれていきました。
この人があの人だったとは!!は作者のオハコですが、
作品によって設定も雰囲気もまちまちなので、毎回新鮮な
驚きに包まれます。
その奥深い世界とやらを今度はしっかり意識してドラえもん作品を
鑑賞してみたいと思わせる程、何度となく父と娘の言葉で、
ドラえもんがいかに計算され尽くした素晴らしい作品なのかが語られます。
きっと作者自身がドラえもんの熱烈なファンなんだね。
ちょこちょこ出てくるドラえもんうんちくが面白い反面、
結構シリアスで重い物語でした。