星野富弘 「速さのちがう時計」
「自分には、周囲とは違うゆっくりとしたペースで時間が流れている」
という意味から、このタイトルが付けられた様です。
これは作者が、新聞のカット絵の仕事として長年に渡って描き続けた作品
を集めた詩画集です。
希望にあふれ、溌剌と体育教師を務めていた24歳の時に、クラブ活動中
の事故で頸髄を損傷し、首から下を動かすことが出来なくなった作者は、
口にくわえたペンで絵を描くことに喜びを見出し、絶望の淵から這い上がり
ました。
口で描いたとは思えないくらい緻密で味のある絵と文字で、そのどれもが
人の心に何かを問いかけたり訴えかける力を放っています。
追憶や日常の些細な出来事から感じたこと、体の自由を失くして悟ったこと、
故郷や親への思いを綴ったエッセイが間に織り込まれています。
当時母の友人が、星野富弘さんの母校である
群馬大学に勤めておられたことで、これと
もう一つの詩画集「鈴の鳴る道」を母に
プレゼントしてくださり、この作品は私が、
「鈴の鳴る道」は母が持っています。
近くの百貨店の画廊に作品が展示された時は、
実物を見に行きました。素晴らしかったです。