自伝小説は仁淀川で完結しますが、作者の
「その後」が知りたくて、読みました。
39編からなるエッセイ集で、好きなもの、
苦手なもの、こだわり、故郷への思いなど、
作者の色んな側面を知ることが出来ます。
一番驚いたのは、執筆中の物語の主人公に近付く
ために、宮尾登美子さんは作品毎、主人公の仕事
や趣味嗜好に身を置き、その人物になり切ると
いうことです。
物語の制作に当たって、何かを調べたり取材する
に止まらず、ある作品では、長唄清元常磐津の類を
マスターし、またある作品では香道具を揃えて、朝夕にお香をたいて、
瞑想する、またまたある作品では、日本画の画材を揃え美人画を描くなど・・・・
それらはしんどいことながら、未知の世界に足を踏み入れる喜びを得ると共に、
良いアイディアが閃いたり、ストーリーが広がって行くことにつながるのだそうです。