2014年5月30日金曜日

本のお話118 湿地帯

宮尾登美子 湿地帯

これは他の宮尾作品とは異色の
ミステリー小説です。
三浦綾子さんにおける「広き迷路」のような感じかも。

どの作品でも、文中で頻繁に見られる作者独特の
言い回しも、ここでは全く見られません。

薬事課長として高知県庁に赴任した
若者が主人公の
お話で、若い女性の死亡事件の謎と、販売の自由
競争阻むお役所と業者の不可解な関係が解き明
されていきます。

話の流れからはちょっと意外な結末でしたが、
後半になると何となく「この人犯人だろうな」
と思わせる怪しい匂いが、その人物から漂ってきます。

ミステリー作家ではない作者にしては、
良くできたお話でしたが、
宮尾作品らしいものの方が良かったというのが率直な感想です。