池上三重子 妻の日の愛のかたみに
これは随分昔、母からもらった本です。
中学生の時だったかな??
40年近く前に発行され、映画やテレビドラマにも
なった作品です。
小学校教師として精一杯の愛情を注いで生徒たちを
指導しつつ、長男に嫁いだ嫁として朝夕の炊事に
洗濯、農繁期には農作業を手伝いながらの忙しい
暮らしの中で、突然の病が作者を襲います。
当時は不治の病だった関節リュウマチが作者の体を
徐々に蝕んでいきました。
この作品は池上三重子さんの手記ですが、長い臥床生活で詠んだ短歌が
数多く織り込まれています。
愛する夫の幸せを願うが故に、夫との別れを選んだ作者の身が引き千切られる
様な苦しみと悲しみ、健やかだった日々を懐かしむ思い、そして葛藤を乗り
越えて至った安らかな境地が、歌から切なく伝わってきます。