大平光代 だからあなたも行きぬいて
本箱の奥に埋もれていたのを見つけました。
中学で自殺未遂、16歳で暴力団組長の妻、
司法試験に一発合格という作者の稀有な経歴
が注目を集め、一昔前にベストセラーになった
作品です。
ごく普通の中学生だった作者を割腹自殺に追い込む
までの壮絶で執拗な学校でのいじめと、自殺を図っ
た作者に対して、痛みも反省も無く更に残酷になる
生徒たち。
見て見ぬふりで助けてくれない先生。
もし大平さんがいじめに遭わなかったら・・・
美容学校合格をお母さんや先生が、手放しで喜んで
くれてたなら・・・と思わずにいられない。
けれども作者は、恩人に出会ったことで立派に更生を果たし、大変な
苦労をかけたお母さんへの精いっぱいの償いと恩返しを誓って手記は
終わっています。
道の踏み外し方が大胆なら、立ち直った後の生き方も超越していて、
何につけても、スケールの大きな人です。
どんな時でもいつからでも、人はやり直せる、という大きな希望を
読者に与えてくれる作品でした。
追記で、非行少年たちのために弁護士として奔走する毎日を送って
おられると書かれていましたが、今はどうしておられるかな。