井上靖 「あすなろ物語」
これは井上靖の自伝小説です。
あすなろ物語は「明日は檜になりたい」
と願いながらも、決して檜になれないあすなろ
の木に、主人公鮎太が自身を重ねるところから
名付けられています。
寂寥感漂うタイトルですね。
幼少期から大人になるまでずっと本当の家族と
離れて、遠慮や寂しさの中で葛藤と闘いながら
生きてきた鮎太の半生が描かれています。
鮎太はそれぞれの年代で出会う女性たちから刺激を
受け、学び育っていくのですが、中でも印象に残って
いるのは、寺の一人娘雪枝の鮎太への接し方で、
そこから私は何かを教わった気がします。
忘れている部分が多過ぎだけど、純文学ならではの深い味わいのある物語
なので、いつか読み返さなくては!と思うまさこさんでした。