タイトルのツナグは、生者と死者を
つなぐ仲介人を意味します。
この世とあの世の垣根を越えて誰かと
会えるチャンスはどちらにとっても
一度きりの一人だけ。
その鉄則の下に両者の合意によって
実現した4つの面会の物語&仲介人の
役目を担うに至った一人の青年の
物語から成る5編の短編連作でした。
ツナグが依頼主と話す病院の中庭と、死者が依頼主と会う
とある高級ホテルの一室が共通の舞台ですが、それぞれの
ドラマはそこから大きく膨らみ広がっていきます。
この人があの人だったとは!の作者お得意のサプライズが
この作品にも、ちゃんと用意されていました。
定番なのに、毎度驚かされる私・・・
人の多面性や上辺からは到底伺い知ることのできない心の闇と
心境の変化が鋭く炙り出され、人間の心って複雑だなあ・・・と
しみじみ思うと共に、どんな人にも壮大なドラマが有ると
気付かされる感慨深い作品でした。