松本清張第6弾 けものみち
表紙の絵は、どちらもクライマックス
シーンが描かれています。
これこそ!まさしく因と果・・・・
53年前の東京が舞台のお話です。
過酷な境遇に耐えながら働く仲居の民子は、
泊り客の謎の男性との出会いによって、
大きく運命が捻じ曲げられていくのですが・・・
「けものみち」は野生動物が通ることによって、自然に山中についた
小径で、山を歩く人は普通の道と錯覚する、と冒頭の言葉にあります。
巻末解説に、「人道を外れ、一旦けものみちに足を踏み入れると、
それが間違った道と気付くことなく進み続けるために、深みに
はまって戻れなくなり、先にあるのは破滅だけ」という意味の
ことが書かれています。
タイトルが、ストーリーを端的に表現していると言えそう。
「けものみち」に引き込まれていく女性を主人公に、政財界の黒幕と
それに群がる人々が描き出されています。
この物語には、真実を追求する点で同じでも、信念と志を持って
事件に向き合うこれまでの刑事や検事たちとは異色の、不純で
賤しい刑事が登場します。
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