タイトル・・・の続きは、
裏地を持っている、でした。
「すべての雲は銀の裏地を持っている」
最後に明かされるその真意は意外と深い!
傷心の男子大学生が辛い現実から逃れる
ために休学して移り住んだ信州菅平の
ペンションでの数か月間のお話です。
厳しい自然の中での労働と個性溢れる温かな人達との
暮らしが、徐々に彼の傷ついた心を癒やしていきました。
あり得ない人からの裏切りによって最愛の恋人を失い、
誰のことも、自分さえ信じられなくなったどん底からの
再生は読む人を元気にしてくれます。
登場人物の誰もが何かしら悩みや事情を抱えながら
懸命に生きる姿もまた然り。
「どんな不幸にも良いところがある」の文中の言葉
そのものの物語でした。
得てして不幸が幸せを連れて来ることはあるもので、幸せに
繋がる不運は試練であっても不幸ではないと気付かされます。
前作では極道、今回は花屋など、作者作品には物語で扱う
業界についての情報が盛り込まれているので、未知の世界を
垣間見ることができるのも魅力の一つです。
