三浦綾子第6弾は「塩狩峠」
塩狩峠は、氷点と並んで三浦綾子の
代表作とされています。
彼女の作品中で最も宗教色の濃い
お話で、「キリスト教が全て」の
物語と言っても良いくらい。
それもそのはず、日本基督教団出版
の月刊誌に連載された小説で、実在
したクリスチャンをモデルに書かれ
たものだからです。
神様の様な人柄と、塩狩峠の列車
事故で名を残した長野政雄という人物は、
三浦綾子が所属していた旭川の教会に、ずっと昔に
所属していた先輩で、知人の手記やその人に関する
資料を元に調べ上げて、塩狩峠を書いた、と
著者あとがきにあります。
原型の長野政雄は、主人公永野信夫よりはるかに信仰厚く、
立派な人であった、と三浦綾子が述べていますが、
ここまでの自己犠牲の人は決して存在しないだろうと
思われる主人公を更に上回る実在の長野政雄とは、
如何なる人物だったのでしょうか。
永野信夫の自己犠牲の精神は、キリスト教の精神そのもので、
その信条なくしては、ありえない究極の形で物語は完結
しています。
言い様の無い悲しい結末でしたが、悲しいだけではなく
色々と考えさせられる物語でした。