三浦綾子第7弾は「泥流地帯」
時は大正時代、北海道上富良野の
更に奥地の村落で誠実に生きる
主人公石村耕作と、その兄の拓一を
中心に描いた物語です。
幼い頃に父を亡くし、母とも離れて
暮らし、祖父母と姉が自分たち兄弟
妹を、貧しいながらも懸命に育てて
くれて、やっと日々の暮らしに光が
見え始めた矢先、十勝岳の噴火に
よる泥流が村を襲います。
頭が良くて勤勉で向上心の強い働き
者の弟と、親分肌で力持ちで、どんな苦境にも
負けない強さを持つ兄。
2人は限りなく優しく、自分より常に家族や
周りの人達の幸せを考えて生きて来た兄弟なのに、
なぜ、こんな目に遭わなければならないのでしょうか。
因果応報や勧善懲悪とは正反対の理不尽な物語でした。
それから良い人は有りえなく良い人過ぎて、悪人は
とことん悪くて、どちらもこんな人は居ないだろう、
と思われる両極端の人物の登場が、三浦綾子さんの
小説には、しばしば見られます。